「寄ってかないか」 「良いの。官舎って、直ぐに噂になるんじゃ」 「ここは職種が色々で誰が隣かも知らない」 小森が沙希の肩を抱き寄せた。 「お義兄さんはまだまだ出世しそうね」 「仕事しかないからな。僕は沙希しかいないからな」 沙希は嬉しそうに小森に凭れた。 若い二人を送りだし、相沢は何かが拭き切れた。 寂しいが、櫻子の事を思い出しても酒を飲もうと思わなくなっていた。