相沢は何も言わなかった。 こうして櫻子の話をしていることだけで奇跡であった。 小森とも櫻子の話はタブーであった。 石井麻奈は相沢を急かすつもりは無かった。 一緒に歩む男は彼しかいないと思っていたから待てた。 この社会にいる限りどこかで会う、 彼の動向にアンテナを張っていた。 今日も挨拶廻りに来て、相沢を捜していた。 もっと相沢の婚約者だった女性の事を知りたい。 どんなに傷ついても乗り越えられだろう。 何しろ麻奈にとって初めてと言える男性であった。