桜ちる


「中学二年で義父に暴行されたの。母親に訴えると、
 私が悪いって言われた。
 風呂上りに寝巻きでうろうろするからだって。
 それから鍵を付けて掛けて寝た。
 風呂は義父がいないときだけで、何日も入らなかった。
 皆にお前は臭いと言われたけど平気だった。
 がり勉をして有名高校の学生寮に入ったのよ。
 義父は何事も無かったように接してくるわ。
 いつか殺してやると思ったけど。私が大学卒業すると、
 勝手に癌で死んでチャンスは無くなったけどね。
 死んでなかったら、貴方とあんな風になれたか解らないわ。
 それにまだ殺してやると思っていたかも。
 素敵な人がいても近寄れなくって、
 あの日、銀座で貴方に会って、人生最大のチャンスだと思った」

麻奈は闘う女であった。