桜ちる


「良いわ。でも貴方が桜に執着するなんて思いもよらなかった」

二人の頭上に花吹雪が風に乗って降り注いだ。
麻奈は相沢が上を向いて涙ぐんでいるのに気がついた。
噂は本当であった。
麻奈が神戸に配属なった去年、相沢の噂を聞いた。
仕事が手につかない程婚約者を愛していた事を。
信じられなかったが今は信じられた。
何か人間が根本的に違ってきていた。

そして暗い瞳に魅力が増し、その上夜桜に誘うなんてと思った