桜ちる


石井麻奈の眼は、
櫻子の眼と同じ傷ついた眼をしていた。
あの時見なかったものが見えた。
相沢が余りまじまじ見たので、
石井麻奈は頬を染めた。
思いがけない事であった。
櫻子のほんのり赤くなった顔を思い出した。
櫻子の眼は相沢と会ってから、
喜んでいる時も、溢れんばかりに幸せな時も、
独特の煌きがあった。

麻奈の眼は傷ついた心が表れているだけで、
それがなかった。