桜ちる



「昌子も私も許せなかった。教一は、私の母の愛人よ。
 知ったでしょう。教一の家の別荘が、うちの家から近いのを。
 父は出世しか頭に無かった。
 母は私が中学に入ると大事な行事のとき以外は
 父の仕事先について行かなかった。
 教一と母との事を知ったのは、十九歳だった。
 すでに祖母と暮していて、
 必要なものがあって帰ると教一と母が、あいつは獣よ。
 昌子の気持ちを知ってデートに誘い無理やり、
 誰でも自分のいうなりになると信じている。
 もしかしたら、昌子も昔のことがなければ
 教一にこれ程の憎しみを持ったかどうか。
 どちらにしろ、
 口だけ嫌だと言っているとしか取らないのよ男達は」