彼氏の余命を知ってる彼女。



「うん、いーよ!なら今から用意して、アズキ家行くね」


『うん!じゃあまた後でね~』


バイバイと一言言って、電話を切る。


久しぶりにアズキとお出かけ。家に居て思い詰めるよりは、息抜きした方がいいよね…。


自分にそう言い聞かせて私はクローゼットを開けて用意を始めた──。




「あら?お出かけ?」


用意が完了して玄関で靴を履いていると、お母さんがリビングのドアから顔を出した。


「アズキと遊んで来る」


「…そう。ヒナ、最近、思い詰めているような顔していたから、少しはアズキちゃんと息抜きしてきなさい」


お母さんはそう言ってまたリビングへと戻って行った。


自分の中で言い聞かせていた事をお母さんに言われ、心の中がスッと楽になった。