彼氏の余命を知ってる彼女。




一年記念日は二人で遠出をするってずっと前から決めていたんだ。


ヒカルが、私の行きたい所ならどこでもいいよって。


….あぁ、どうしてヒカルはそんなにかっこいいのでしょうか。


自分の彼氏がこんなにも出来た人間で良いのかと、この一年で何回思った事か。


「ヒカル…好き….」


ベッドの上で寝そべり、目を瞑りながら静かにそう呟く。


そしていつの間にかそのまま夢の中へと落ちてしまっていた。



────この時、どうして寝てしまったんだろう。


この時寝なかったら私の人生は何の変哲もない平凡で幸せな日々だったのに──。


“死”についてなんて考えもしなかったのに──。


なんて、今更後悔しても遅いんだけどね──。