「見て!あの人、オシャレだしめっちゃかっこいい!」


「本当だー!一人かな?」


女子高生達の視線をふと追い、噂話されている人物を見て自分の口元がだんだん緩むのがわかる。


50メートルほど遠くからこちらに走ってくる人物、それは紛れもなくヒカルだった。


「ハァハァ、ごめん、待った?」


今日は珍しく春日和で、温かい。


ヒカルは走って来たからか汗が額から流れている。


…ここからヒカルの家は遠いのに、私のために走ってきてくれたんだね。


そう思うと胸がキュンと弾み、ポケットからハンカチを出してヒカルの汗を拭く。