彼氏の余命を知ってる彼女。



こんなこと考えてる自分が虚しい…。


愛しい人の死期がわかるからって、こうやって計画を立てて、ヒカルを死なせない努力さえしない…。


望みがなくても、何か前例があるかもしれないのに…。


心の中で諦めている自分が憎い。


────…
──…




今日一日はこのことばかり考えていたため、案外早く学校が終わった。


コートを着てカバンを背負っていると、ヒカルがこちらへ向かってくる。


「ヒナ、帰ろう」


毎日下校はヒカルと一緒。


今日はあまりにも極端にヒカルを避けすぎたため、自分でも申し訳ないと思っていた。


記念日前だというのに壁を作りたくない気持ちが強く、本当は一緒に居るのは辛いが、私は笑顔で頷いた。


“Remaining 29 days”


の文字を見ないようにして──。