彼氏の余命を知ってる彼女。



見れば見るほど綺麗な瞳。


向こう側へ行ってしまった死神の瞳の事を思い浮かべていると、一限目の終わるチャイムが鳴り響いた。



* * *


教室へ戻ると、アズキがズカズカと足音をたてながら私の元へとやって来た。


「やっぱり具合悪かったんじゃん!だからさっき…」


「あはは。また急な便意が襲って来てさー。あはは」


アズキの言葉に被せる様に私は笑いながら言う。


「…もう。薬飲みなー」


そう言ってアズキは自分の席へと戻って行った。


アズキの後ろ姿に『ごめん』と心の中で呟く。


これから何回、アズキに嘘をつくことになるんだろうか…。


多分、あと一ヶ月はこうやってアズキに嘘をつき続けなれけばならない。


あと一ヶ月………。


あと一ヶ月でヒカルは私の前から居なくなるの──?


私の前から永遠に──?