彼氏の余命を知ってる彼女。



“誰かに公言した瞬間──、デス・クロック関係なくその場で死す──”


自分の中でこの言葉を反復すると、心臓が気持ち悪くドクドクと脈打つ。


それは…、私が誰かにヒカルがあと一ヶ月で死ぬと、仄めかす発言をした瞬間、ヒカルはその場で死んでしまうんだ──。


「だから気を付けて」


「は、はい…、わかりました…」


体も声も震える。震えながらも死神の目を見ながら返事をした。


絶対に言わない、と“神”に誓って──。


私が返事をすると、死神は眉をしかめ、ふわっと宙を浮く。


「…久しぶりに長時間日に当たるのはキツイものがあった…。この後の用事を済まし、帰る」


黒いマントで顔の半分まで隠し、苦しそうに死神はそう言った。


…確かに。死神がこんな日が出てる時に現れるなんて想像もつかない。


…まぁ、本物の死神が存在することがありえないんだけどね。


「…あ」


一瞬、死神の紅い瞳と目が合い、私の声が静かに漏れると、死神は校舎の向こう側へと飛んで行ってしまった。