私が長い廊下を歩いて辿り着いたのは、保健室ではなく、この時間は誰も訪れない裏庭だった。
そして、私は叫ぶ。
「し……、死神さん!」
あまりにも非現実の事を叫んだため、言葉に出した後、顔が真っ赤になっていることがわかる。
そんな私を他所(よそ)に背中に温かい風を感じた。
恐る恐る後ろを振り向くと、昨日の夢に出てきた全身真っ黒な“死神”が居た。
鋭い瞳を見た瞬間、私の心臓がドクンと静かに跳ねる。
「…呼んだか」
「呼んだかって…、あなた、現実世界に存在するんですか!?さっき、窓から見えた時本当にびっくりしました!」
「まぁ、魂を回収するのは直接この世に行かなければならないだろう。普段は人間にはこの姿は見えない。あの世界に来てしまった君は例外だ」
「…そ、そうですか。なら…今は誰かの魂を回収しに来たんですか…?」
手に汗を握りながら死神に聞く。会うのは初めてではないが、凄く緊張してしまってる自分が居る。

