驚きの事実に私は言葉を失う。 ということは、お母さんがまだ若い頃、あの無の世界へ行ってしまい、最後にガラス玉を死神に渡したってこと──? 「…だけど、死神は、ガラス玉をくれた人は恋人と一緒に命を落としたって…っ」 「…そう、死神さんがそんな事を言っていたの。私の事…覚えていてくれたんだ」 そう言ってまるで懐かしむ表情をするお母さん。 私は立ち上がり、大切に机の上に置いてあるガラス玉を手に取ってお母さんへ差し出した。 それを静かに受け取るお母さん。