彼氏の余命を知ってる彼女。



「ヒカルが…」


「はい。もちろん先輩とは初対面で、私が驚いていると、先輩が私に向かって怒鳴ったんです…。

 あんた、バカか!なんで自ら命をたとうとするんだよ!…今、辛い事があるのかもしれないけど、それがきっといつか思い出になる日が来るから。だから…、死ぬのはやめて。

って。赤の他人の私を怒ってくれたんです。その時、私、家族の事で悩んでて、先輩が怒ってくれたおかげで目が覚めました。

それから今日まで話し合った結果、家族とまた暮らせることになったんです。だから、命の恩人の先輩に転校してしまう前に告っておきたくて」


微笑みながら話す彼女の表情は、スッキリとした面持ちをしていた。


私はそんな彼女を見て涙腺が緩んでしまったが、必死に我慢した。


ここで私が泣いてはいけないと思ったから──。