彼氏の余命を知ってる彼女。




「私、去年の冬に──、自殺しようとしたんです」


彼女が言った言葉に、私の心臓がズクンと跳ねた。


「え…」


戸惑いを隠せない私に、彼女は話を進める。


「あの時は本当に辛くて…、もう生きる気力さえなくて電車に飛び込もうとしてたんです。

踏切の真ん中に立って、電車が来るのを待ちました。すぐに電車が来るのが見えて、覚悟して目を瞑ったんです。

…そしたらいきなり強い力で腕を引っ張られ、私は踏切の外へ、電車は目の前を通って行った。

私の腕を掴んでいる、何かを辿ると、そこには眉間にシワを寄せて怖い顔をした杉谷先輩がいました…」