彼氏の余命を知ってる彼女。



「あ!まさか…」


階段を上る途中、ヒカルは声を上げて立ち止まった。


「思い出したの?」


「…うん、多分。髪の毛の色変わってたし、化粧もしていたからわかんなかったけど、去年の冬──…」


そこまで言って話を止めるヒカル。


その表情は“言えない”を語っていた──。


「…言えないこと…?」


小さな声で問うと、ヒカルは慌てふためいたように私の前に立った。