柚香ちゃんが早足に屋上から降りていった。

とんでもないことを聞いてしまった・・・。

「そりゃ愛想笑いにもなるわなー・・・」

柚香ちゃんの家と俺の家とは小さいころから家族ぐるみの付き合いがあった。

どうやら柚香の母親と俺の母親が幼馴染同士で仲がよかったらしい。

俺が小学校に上がるぐらいまでは念に数回程度だが一緒に旅行に行ったりお互いの家に呼んでご飯を食べたりなどしていたらしい。

俺が小学校に上がる年、父さんの仕事の都合で遠くに引っ越すことになりそれ以来会うことはなかった。

俺も小さかったせいか年がたつことに柚香のことはほとんど忘れていた。

高校に上がるときこっちに戻ってくることになり引越しの準備中に不注意で写真を入れていた箱を落としてしまい、中身を盛大にばら撒いてしまった。

片付けているときに俺と女の子が写っている写真が何枚もあった。

その女の子は見ているだけで周りまで笑顔になりそうなぐらいどの写真もニコニコしていた。

その女のこのことが気になり、母さんに聞いてみることにした。

「母さん。この写真でよく俺と一緒に写ってる子って?」

「あらー懐かしい写真ね。柚香ちゃんっていって私の幼馴染の子供よーかわいいでしょ?」

「あぁ。」

「覚えてない?小さいころよく一緒に遊んだり旅行に行ったじゃない。どれにあんたが3年生くらいのときだったかしら?一度柚香ちゃんうちに泊まりに来たのよ?」

「ぜんぜん覚えてないや・・・この子今どこにいるの?」

「さぁ?でも引っ越したって話し聞いてないしもしかしたらそのうちあえるんじゃない?」

「そっかー」

この女の子が何もなくこのまま、この笑顔のまま成長しているとばかり思っていた。

会えるかもしれないと思うとなぜかすごく楽しみだった。