「泣くなよ、泣いたら何も出来ないだろ。」




悔しい、一発殴ってやりたいのに、怖くて震えが止まらない。




私に近づくなって言った癖に、何で自分から近づいてくるのよ!




「明日美、震えてる、俺が怖いのか?」




私が頷くと斗真がごめん。と謝った。




謝るならこんな事しないでよ。




悔しくて唇を噛み締めた。



「明日美、そんな目で見るなよ。俺余裕なくて焦ってた。宗次郎におまえが取られそうで怖いんだ。20年前も明日美が俺から離れて行くのが、怖かった。」




何、勝手な事いってるのよ。




それよりどきなさいよ!




「明日美からキスしてくれたら、どいてやる。」




バカっかじゃないの、私からキスなんか出来ないって言うか、キスってどうやってするの?




「俺の首に腕を回して、目を閉じろ!」




うん、分かった。




魔法にかかったみたいに、体を浮かせ斗真の首に腕を回して、目を閉じた。




く、苦しい。




キスってこんなに苦しいものなの?




息が出来ない。



ジンジャう。