――楓サイド――
「どっか? どこに?」
「どこでも…。まあよくなってたらの話だけどな」
「……いいの?」
「ああ」
…たぶん。
「ほんとに?」
「ああ」
たぶん。
「……」
真裕の顔が、ぱあっと嬉しそうに輝いた。
まあ…当然だ。
妊娠してから真裕は一度もまともに外へ出ていない。
せいぜい俺のいた病院と…ここにきたくらい。
元々あれだけ世界中飛び回ってたわけだし、家にこもってればストレスもたまるというものだろう。
もちろん、体調的にも世間的にも簡単でないのは重々承知。
だけどこのままこもらせておくのは、真裕にとってもよくないと思う。
「じゃあまおオーストラリアに行ってぱんだ見たい!」
「オーストラリアはコアラだ」
「そうそうそれそれ」
「(さすがに)却下」
「えーっケチ」
「パンダとコアラ間違ったやつに言われたくねぇよΣ」
「関係ないし」
「あるんだよ」

