「そりゃあ、妊婦さんはみんな体を特に大事にしなくちゃいけない。だけど真裕ちゃんは特別そうなんだよ」
「…?」
「君の場合、一番不安定で大切な妊娠初期に、体にも心にも大きなダメージを負ってる。その影響で、安定期に入った今でも油断できない状態なんだ」
「えー……?」
「だから余計なことは考えずに、お腹の子と自分の体の心配だけしてるんだよ。君にはこんなに頼もしい旦那様がついてるんだから安心して」
「……はあ…?」
「…すいません。理解してねえっす」
「あはは! いやあ、さすが真裕ちゃん」
えー…っと…?
「…かえくーん…」
「ああ…いいから寝てな」
「…? うん」
体…だるいし。
寝よう。
かえくんの優しい声と言葉に従って、あたしはゆっくり目を閉じた。
なんでだろう。
さっきと違って…すごく、軽くなった心で。
「…届いたかねぇ…」
「ええ…。おかげで大人しく寝てくれましたよ」
「そうか。それならよかった…」
薄れていく意識の中で、かすかに二人のそんな会話を聞いたような気がしながら…。

