秘密のMelo♪y⑦*完結編㊤*


「っ…だって母様認めてもらったことないよ…! ピアノでだって…まず藤峰が付いて回るんだもの! 常に藤峰家の嫁として相応しいかどうかで見られて…」


…初めて聞く話ではなかった。

お義母さんが亡くなってからというもの、真裕はたまに不安定になる。

夜…眠れずにずっと泣いて。

静かに、お義母さんのことを語る。

周りの想像以上に、真裕は母親の死というものに深く傷ついている。

そして今も…立ち直ることが出来ていない。


「最初から認められてるあなたとは違うの!!」


「…!」


『…!』


『マ…』


「…!? ご……ごめん…なさ…!」


無意識に出た言葉だったのか……自分自身とても驚いた顔で、目を見開いてそう言った。

大粒の涙が絶えず流れ出ていて。


また…こいつは苦しまなきゃならないのか。


そう思うと、怒りを通り越して哀しかった。


なんで俺は、一番大事なやつをいつも守れないんだろうか。

なんで……苦しまないで済む方法を、見つけてやれないんだろうか。


そんな思いが頭をよぎった。


「ちが…違うの…。そんなこと、思ってない…。ごめんなさ…!」


「…真裕…」


「だって…分かってるのに…。うちがこういう家だから…仕方ないって分かってるけど…! でもあたしにとって、母様は普通の母様だもの…!」


「分かってるよ…」


「…っ…」


顔を両手で覆って…俺の胸に押し付けてきた真裕を抱きしめた。


……はずだった。