秘密のMelo♪y⑦*完結編㊤*


しかし中途半端に隠す形になってしまった今、事態は複雑化している。

なぜ隠していたのか? やがてそこが、一番のネタになるだろう。


「…ふん。いいわ。ほっときなさい」


「し、しかし…」


「飽きるまで待つ。しつこいようならパリに帰るわ」


あっちのほうが警備が厳重だからと付け加えながら、肩にかけていたショールを翻して俺達に背を向けた真裕。

恐らく…戸惑っている。

仕方のないことだと分かっているだけに、怒ることもできないからだろう。


―ビーッ


「!」


『わっ…。え…?』


『…さん! 藤峰さん! 真琴さんが亡くなられていたというのは本当ですか?』


『え…?』


「…!」


インターホン…か…!


突如鳴り響いたブザー音のあと、記者と思わしき男の声が部屋に轟いた。

部屋の電話は、内線とインターホンとが一緒になっている。

たぶんさっき坂本さんか誰かがインターホンをとって、切り忘れたんだろう。


「も…申し訳ございませ…!」


顔を真っ青にした坂本さん…やっぱりそうか…。


『半年以上前に亡くなられていたとのことですが、なぜ今まで公表しなかったのですか?』


『なにか都合の悪いことでも?』


『噂では、日本の一般家庭出身の真琴さんには藤峰家の重圧は重く、失踪した末の自殺ではないかと言われていますが、どうなんですか?』


「…!!」