「……」
「……」
『……』
『……』
「……わーっ! かえくんがこわいよーうっ怒ったよーうっ! やっぱりへんだよーう! あーん!」
『泣かないでママ! さあっ、しっかりママ!』
「ぐすん。やっぱりあなたのおとおさんは怖い人なん…」
「いや、分かった。悪い。でもテレビは付けん…」
『…いてのニュースです。えー先ほど、世界的な財閥であり音楽一家など、多方面で知られる藤峰家のご当主洋平様の妻で音楽家の武藤真琴さんが亡くなられていたことが分かりました』
…………は?
『あっ、ごめん当たった……って…』
「え…?」
しまっ…!
「なに…どういうこと?」
しまったと…。
そう思うのも遅かった。
真裕の声色がワントーン下がった。
キツく鋭い目をして、俺を見る。
あまりの雰囲気の変わりように、周りは誰も声を出せなかった。
そんな中でも…テレビは喋り続ける。
なんでいつも、こうタイミングよくニュースばかりやっているんだろうか。
どうせどこのチャンネルでも同じなのにそんなことまで思ってしまう。
「…真裕…」
「さっきの神崎のはこれね。どうして黙ってたの?」

