…でなんでそこで俺を見る。
それはなにか? 俺に食えと?
お前…ついさっき、体調が悪そうだみたいな旨のことを言ってただろうが。
そんなやつに普通残り物食わせようとするかおい。
しかもいらねぇし俺ももう。
どうやら本当に体も疲れていたらしい。
とりあえず寝たい。
「下げてもらおうか」
俺の顔を見て悟ったのか、肩をすくめながらそう言い、電話を手に取った。
「すんまそーん。食器下げてくださいな」
「…お前最近バリエーション増えたな」
「なんの?」
「いや…すべて?」
「?」
だんだんまともな人間に近付いてきた気がしないでもない。
知識や単語のバリエーションがだいぶ広がったように思う。
『自分の妻を“現・非まともな人間”呼ばわりする人って、きっといないわよね』
『いや…妻じゃなくてもそうそうそんな呼ばわりしないだろ』
『でもハディはあんたを非・人間と思ってるわよ』
『せめて“まとも”をつけろよ!Σ』
…誰の影響だろうか。
場合によっちゃ、影響を受けちゃまずい相手も身近にたくさんいるんだが…。
『……ってなんでこっち見るわけ?』
『かわいそうリジュ』
『メイリーだって見られてるわよΣ』
『違うわよ見てるのはこれよ!』
『人をこれ呼ばわりすんなよΣ』

