食欲くらい失せるってもんだ。
さっきの話聞きゃあな…。
ため息をつきそうになったけれど、また余計な心配をされるのでぐっとこらえた。
『えーっえーっ、じゃああたし達もここで食べてもいい?』
『いいんじゃなーい?』
『マヒロってさ、カエデ以外にはすっごい適当だよね』
『そんなことないわっ。いやあねハディったら』
つーかそこは俺に聞けよ…。
俺が体調悪いからここで食うつもりなんじゃねぇのか。
いや、別に悪くはないけど。
でもそう思ってんなら俺にもう少し気を遣えよ。
……なんてことをぐだぐだ考える俺は、やっぱり動揺しているような気がする。
普段ならどうでもよすぎて耳にも入らねえ。
「はーちきちょ…」
くしゃっと頭を掻いて次の瞬間ふと右を向くと。
「おお…っんだよ」
あんまり近くに真裕の顔があったもんだから、思わず声が出た。
「…かえくん。ひろ子とともかとかずきとたろうくんの(自分で作った)その後のお話、してあげようか?」
『最後だけなにそのたろうくんて!Σどれもこれもすっげ普通の名前だけど、なにもたろうくん…』
『いや、というか何気に“自分で作った”…とか言わなかった?』
いや…おい。
問題はそのどっちでもねえよ。
つかまずそのひろ子だか何だかは誰だ。
「恋人に浮気されてしかもその相手が自分の父親だったともかの母」
「またそれかΣ」

