『そりゃそうだわよ。だってなんか顔色よくないわよ?』
『仕事のしすぎだなーうん。きっとそうだ』
『若いのに無理したらだめじゃなーい』
『ハディ、あんた歳変わらないでしょ』
…そりゃ体も疲れてはいるがな。
そう思うんだったら大勢で押しかけるのやめとけや。
そう思うのは間違いだろうか。
「大広間行くのやめる?」
「いいよ別に。行くぞ」
「ちゃんと食べられるんですか」
「……おうよ」
「あもしもし坂本さん? ごめんけど、ご飯部屋に運んでくれる? えっとねーお肉類はいらないや。さっぱりしたのだけお願い。…うん、うん。ありがとうね」
「……」
「ふっ。あんたの負け」
「所詮男は妻には敵わねェのよ」
両肩にポンと手を置いて言われると、同情されているようで少しイラッとした気がする。
「…あのな、ほんとに別にどこもなんともな…」
「じゃあステーキでも食べましょうかねぇ…。厚さ三センチくらいの。ガーリックしょうゆでもソースにしてもらいましょうかねぇ…」
「……」
「あ、それところもを二重くらいにしたフライもいっぱい食べようか」
「…………」
「だから負けだって」
「事実なんだったら認めとけよ」
…チッ。

