「…!!」
…分かっていたはずなのに。
想定の範囲内だったはずなのに。
それでも、驚かずにはいられなかった。
なぜなら…そう。
たぶん、それでもそんなはずはないと思っていたからだろう。
洋平さんに限って絶対に、今真裕を傷つけるようなミスをするはずがないと、そう思っていたからだろう。
「旦那様のミスではございません。いえ…言ってしまえば、こちら側は何もしていないのです」
「なにもしていない?」
「はい。隠すことも…あえて公表することも、何もしていません。突如、“第三者による暴露”という形で漏れました」
「な……に…?」
第三者の暴露だと…?
…ちょっと待て。
武藤真琴の死を知っているのは…。
「…今うちにいる人間と、日本の真裕の友人と俺の両親くらいなはずじゃ…」
「何らかの形で知っていた者がいると思われます…」
…知っているやつらの中に、口を滑らせてでも他に漏らすようなやつはいない。
となれば、どこかで聞きつけたんだろうが…。
「…このタイミングで…」
時間の問題だ。
こうなるのは時間の問題だと、お義父さんも真裕も分かっているだろう。
でも…今、真裕にショックを与えたくない。
やっと取り戻したのに…。あいつの笑顔。
これ以上負担をかけたくない。
知らず知らず、眉を寄せて考え込んだ。

