――楓サイド――
「そう。じゃ、あたしメイリー達のとこに行ってくるね。ご飯の時間になったら呼んでね~❤…さ、行こうか琥珀」
「わふっ」
「うんよしよし❤」
…一見いつも通りの真裕。
でも…たぶん、気付いている。
あいつは、俺が嘘をつくのが下手だというが、俺はそうじゃないと思っている。
真裕の勘がよすぎるだけだ。
そういうことに関してはよく働く勘…。
シュンから聞いた話では、俺が死んだことになっていた時、誰も言わないのにすぐにそれを察したという。
お義父さんも似たようなことを度々言っていたし…。
メイリー達の部屋に行くと言って、琥珀と一緒に出て行った真裕の後ろ姿を見ながら、本当は今どうでもいいようなことを淡々と考えた。
「……」
そして…思い出す。
さっきの、神崎との会話。
冷たい汗が流れるのが分かった。
―――
――
―…
「なんです?」
「…それが…その…」
「真裕には言えないこと…か」
「…はい」
…この時点で、いくつかに絞られていた。
何が起きたのか…。
そして、そのうちに一つに、確かにあったそれが答えだった。
「…奥様のことが、世間に知れ渡りました」

