くっ…。
『違うもんあたしんのだもん!』って言ってる…!(たぶん)
「あのね、かえくんはね、まおのこと愛してる❤んだよ? そりゃ紅葉達のこともちゃんと好き…っていうか何気に実はすっごい可愛がってるっぽいけどね」
特に梨音なんかは、可愛くて仕方ないみたい。
表には出さないけど…なんかそんな感じ。
「いやでもね? でもまおのことが大好きなんだよ。分かる?」
「わううっ」
くっ…。
『あたしのんが可愛い』って言ってる…!(たぶん)
「そりゃあんた、わんこに可愛さで適うわけないでしょうに! いーい、世の中可愛さがすべてじゃないのよ。愛❤はそんな簡単にはかれるもんじゃな…」
「お前犬相手に何を力説してんだ」
「あっ! かえくん! びびったっ」
はやっ。
もう話終わったの?
後ろから急に声をかけられて、ぐるんと勢いよく振り返ったらそこにはかえくんの姿。
あれ…?
呆れ顔…なんだけど…なんか…?
「…どしたの?」
「なにが?」
「お兄ちゃんなんて?」
「別に…大したことはなかったけど」
「ふーん…」
…嘘ばっか。
かえくんて…やっぱり、あたしに嘘つくの下手だよね。
あたしになにか都合の悪いことだったんだ。
そして解決策もないから…言わないんだ。
彼の目を見てそう思った。

