「…って寝るなΣ」
「はう!?」
「ったく…夜だっつってんだろ」
「え…? 夜寝るのは当たり前だよ…?」
「昼から夜まで寝るののどこが当たり前だΣ」
「ええっ! そうだっけ!?」
…こいつのこえぇのは、これを本気で言ってるとこだよ…。
「そら起きな? 飯食わねぇと、また点滴だぞ」
「死んでもするもんか」
「バッカ飯食わずに点滴もせずにいて死ぬのは、まず子どもだ」
「食べる!」
「よし」
ふっ…。単純。
やつらはよく、真裕を扱いにくい分かりにくいというが、俺からすればこんなに単純なやつは他にいない。
少し前なら「俺のため」。
今なら「子供のため」。
そう言えばコロッと態度が変わるんだからな。
「ごはんは?」
「まだ厨房」
「なんだー。お部屋に来てから起こしてほしかった」
「一秒でも長く寝るつもりかお前は」
思わず呆れて言ってしまう。
本当に、ほっとけば何時間でも寝てるんだろうなコイツ。
ぴったりくっついてくる真裕の背中に手を回しながらそう思った、その直後のことだった。
―バンッ!

