いや…いいんだ。
寝てるだけならまだいいんだ。
ただその場所が問題で。
「…お前さ、手離せよ」
「やー…」
「じゃあ起きろ」
「やだよぅだ…。赤ちゃんも寝るってー…」
「がっつり起きてるように見えるが」
じゃあお前の腹はなんで動いてんだよ。
つーかよく寝れるな…。外から見て分かるくらい動いてんのに。
そんなもんなのか?
「……」
…いや、こいつはきっと特殊だな。
特殊じゃないわけがない。
なんせ真裕だ。
すべてにおいて特殊に決まってる。
「起きねえんなら置いてくぞ?」
「やだ!! どこ行くの!?」
「おっ…と…」
あーしまった…。
禁句だったか…。
置いていくと言った瞬間、半ば叫びながら飛び起きた真裕。
その反動で危うくベッドから落ちるところだったのを、間一髪で支えた。
「いや…悪い。どこも行かねぇよ」
「……本当に?」
「ああ。絶対」
「……なんだ…よかった」

