幸せというものにたどり着くまで、人はなぜこんなにもかかるのだろう。
悪いことは一気に襲ってくるという。
まだ何かあるのかなー…なんて、最近あたしはネガティブだ。
「まとなてぃーぶらっくだ!」
「もしかしてマタニティーブルーと言いたいのか?」
「あらユウキおかえり」
「あんたほんと面白いな」
「そうかしら?」
わたしはいたってまじめですだ。
急に出てきて突っ込んでくるユウキにももう慣れた。
今日は学校が早く終わったらしい。
「こんなとこでなにしてんの?」
「ああ、そうよ。中庭に行くんだったわ」
「一人で? 楓は?」
「あんたまでそんなこと言わなくたっていいじゃなーい。あとから来るわよきっと」
「あとからって…よく許したな、あいつが」
「坂本さんが一緒だもの」
どうせあの人のことだ。
坂本さんが一緒に行くことくらいお見通しだったんだと思う。
それか付いて行かせる気だったんだろうな。
「じゃ、そういうことだからお腹空いてたら自分で何か用意してね。坂本さんはそんなことしてる暇ないから」
「おいおい朝飯も食ってないんだぞ…」
しょうがないじゃないの。
今うちに、家事をする使用人は他にいない。
本邸にならたくさんいるんだけどねぇ…。

