それ以前の問題だと言うかえくんの口にういんなーを突っ込んで、ピキッとこめかみに筋が入るのを確認した。
うん…! 怒ってしまった…!
「でもおいしいでしょ…?」
「……」
呆れてものも言えないそうよ…!
「あなたのおとおさんは冷たい人…」
「お前それ一日に何回言うんだよ。毎日だろ」
「ほら、お腹の中で聞いてると潜在意識として残って生まれてくるかも…」
「ますます問題だボケΣ」
事実を知って生まれてくる方が幸せなのに…。
かっこよくて素敵なお父さんで自慢だと思ってたらある日実情を知ってショックを受けるよりきっと幸せなのに…。
その時の衝撃といったら、自分の恋人が自分の母と浮気してるかと思ったら実はそれはフェイクで父と浮気してて、しかもその父には昔フェイクとして付き合っていた女性との間に隠し子までいて実はその子が恋人だったっていうくらいの衝撃だと思う!
「なんだその具体的かつあり得なさすぎるほどドロ沼な昼ドラ的展開は!Σ お前どこで覚えたそんなの!」
「一昨日観た昼ドラ!」
「そんなもん観るなΣ つかどんなドラマだよ?」
『いや親か!Σ』
あんまりに暇だったんだものっ。
『そっ…そんな…!』
『あ、あなた…!? か、隠し子ですって!? あの女に産ませたのね!! 別れたって…! もう切れたって言ってたじゃない…!! 嘘だったの!?』
『し、知らなかったんだ! 本当にあいつとは切れてたんだ! だけど…! そ、その後子供を産んだらしくて…』
『ママ!! そんなことじゃないじゃないの! だって、パパも彼もあたし達を騙してたのよ!?』
『ああっ、もう…! もう嫌!! ずっと私に嘘をついて、利用し続けて、娘まで裏切るなんて! 最低よっ!』
『ママっ! どこ行くの!?』
『ま、待ってくれ! ひろ子、ともか!』
「…っていうね」

