ま、この人の素敵さはもはや言葉じゃ言い表せないかんね。
仕方ないっちゃ仕方ないよ。
「じゃあ…ちょっと中庭に散歩に行ってくるぅ…」
「上着着ろよ」
「もうあったかいわよ」
「今日は肌寒い」
「はーい。…琥珀、梨音、紅葉、一緒に行く?」
「きゅん」
「きゃはは行くって行くって! 可愛い!」
「……」
よしっ。
かえくんに買ってもらったの着よう。
ごそごそとクローゼットから引っ張り出して袖を通し、上機嫌で琥珀達を連れて部屋を出た。
「あら、お嬢様。どちらへ?」
するとちょうどそこを通りかかったらしい坂本さんが、一礼して声をかけてきた。
「お散歩でーす」
「お一人ですか?」
「この子達が一緒よ」
「楓様はいかがなさいましたか?」
「お仕事中」
「では私がご一緒させていただきます。よろしいですか?」
「うん。どうせこの子達遊びに行っちゃうから寂しいと思ってたの」
…てかそれはさ、なに? あれですか?
一人で行かせてたまるかこのやろってことですか?
……相変わらず坂本さんってかえくん以上に心配性だよね。

