『あ! でも性格の面は……ちょっと目つむってね…?』
「こら」
『そりゃ見た目はいいしカリスマ性ハンパないし頭よさそうだし超才能に満ち溢れてるけどさー。ねえ? 性格がねえ?』
「お前までなんだコラ」
『経済力もばっちりよ』
『あら。でも藤峰家からすればぶっちゃけ関係ないんじゃ…』
おやまあなにを仰る。
『大アリだわよ』
ふふん。
聞いてよみんな。かえくんね、すごいんだよ。
あたし、思わず自慢げに語ってしまった。
『父様が気に入った結婚しろって言ったでしょ? けどいくら父様でも、かえくんがかっこいいからとかすてきだからとか惚れちゃいそうだからとかそんな理由でうちに入れないんだよ』
『何気に超ノロケっていうΣ』
あれでも藤峰家の当主だから。
会社を担ってるから。
人を見る目はあるし、常に見ている。
そんな父様が、かえくんを一目見て気に入ったんだ。
音楽的な才能に惚れこんだだけなら…自分の右腕として断られた時点で諦めてる。
だけど父様はそれでもあたしと結婚という手に走った。
それにはちゃんとわけがある。
「いやいや待て待て。それ、俺も初めて聞くぞおい」
「マジかよΣいいのかそれで」
「父様はね、人格や人柄とか、人間的な器とか…色んなもの、ちゃんと見てるんだよ」
その中には経済力というものも含まれている。
それらの中で一つでも、ほんの少しでも足りないと思ったらすぐに見限ってしまう。
ああ見えてそういう人だ。

