秘密のMelo♪y⑦*完結編㊤*


俺が口を開きかけたとき。

さも不思議そうに、真裕が言った。


『え? この家の主はあたしじゃないよ?』


『え、そうなの? パパ?』


『なんで? かえくんよ』


『え"…』


『え、だって…え?』


お互いに不思議な顔をしている。

相手の言っていることが全く分かっていない。

しかしこの場合はメイリー達のほうが正しいわけで…。


『だってこの家はあたし達夫婦の本邸にあたるわけで…そうすると正式な五十一代目の夫としては、一家の大黒柱であらないと…?』


『そ……そうなの…?』


これもまた、この家の不思議な制度。

当主は長子と決まっていても、だからといって家の主がそうとは限らない。

いわゆる大黒柱的な存在は男だと決まっているらしい。

よく分からないが、まあこれも古い家柄のせいだろうと思うことにした。


『…あれ。お前なんか、どんどん偉くなっていってない…?』


『元々お前よりは人間的に上にいるつもりだ』


『それは自分を高く見てんのか俺を低く見てんのかどっちだ!?Σ』


少し考えれば分かることだろそんなの…。


『ところでマヒロ、お腹の子の調子はどう?』


『いいわよ。さっきちょうど胃にクリーンヒットして超びっくりしてたとこ』


『胃にクリーンヒットて! 超ウケるんだけど!』


相変わらず声もテンションも高い女子組。

これは仕事はこれ以上無理だと諦め、パソコンを閉じた。