秘密のMelo♪y⑦*完結編㊤*


去年…こんなのいたっけ?

あー…んー……あたし人の顔とか声とか名前とか覚えるの苦手なんだよね。


「まっ、遠縁の親戚のお兄さんって覚えておいておくれ」


「はあ」


…何時間覚えてられるかはわかんないけど。


「時間単位Σ」


そう言って席の向かいに座った彼を見て、一瞬デジャヴのようなものに襲われた。


あれ、やっぱり見たこと…ある?


「??」


「どうした?」


仕切りに首を傾げるあたしにかえくんが心配そうに語りかける。


「ううん…」


前にも来てたのかもしれないな。

そう思い至って、あたしはそれ以上考えることをやめた。


「かえくん、ちかちゃんこれ食べれるかな?」


「食べれるかΣ」


「ええーっ…美味しいのに…」


…だけどこの時、もっとしっかり思い出していればよかった。


「まお、顔拭きなさい」


「ん。…あれ? さっきの変な人は?」


「知らん」


うわーそこまで徹底して興味ってなくせるもんなんだ。