「見て見て由美江! あれ! あれ星野楓じゃない!? ねえ!!」
「本当だ! ホンモノかな、近くで見てみようよ。触っていいのかな?」
ん?
…と、後ろからキャンキャンと響くこの声は…。
「きゃー! ほんとに本物だよ理江ちゃん! すごぉーい星野楓だっ。サインくださいっ!」
「…!? ? ?」
ああ、やっぱり。
振り返ってみて納得した。
キラキラと目を輝かせながらかえくんに詰め寄る2人の女の子。
ついでに、珍しく本気でうろたえているかえくん。
あの2人は時江おばさまの娘達で、お姉ちゃんの理江ちゃんが高校一年生。
妹の由美江ちゃんが中学二年生だ。
…ったはず。
「マジでイケメンなんだけど! 人間じゃないみたーいかっこいい♥」
「お肌すごく綺麗ですね! 化粧水とか使われてるんですか?」
「お……おい、まお…」
ものすごく必死にあたしに助けを求めてくる彼を見て、こう…なんだろう。
なんかものすごく可哀想に思うと同時に勝ち誇った気になりながらも、一応助けてあげることにした。
なぜならあたしは妻だから!
優しい優しい妻だから!

