「で? なんだって?」
「え? なにが?」
「……」
バカか。
バカなのか。
ああそうだな、素直でも単純なんでもない。
ただのバカだこいつは。
…知ってたけど。
「着替えてくるんじゃなかったのか?」
「そう! そうなの! それで大変なのよ!」
「だからなにが」
「着物に着替えようと思ったらまずお洋服を脱がないとじゃない? でもお洋服脱ぐには手を使わなきゃじゃない? でも見て…!? あたしの両手塞がっ…」
「下ろせ。犬を。そして赤子を」
「!Σ」
なんだその今気付いたみたいな顔は。
ハッとした顔で、そして無言で出て行き…扉を閉めた真裕。
きっと今頃、坂本さんあたりに預けていることだろう。
「どこまでフリーダムなんだあいつの脳みそは…」
ブラックボックスだな。
思わずひとり呟きながら、とりあえず俺も着替えるかと立ち上がった。
つってもなー…スーツくらいしか…。
「…いいか、なんでも」
「よくないやい」
「Σ」

