「生きてるし!」
「普通にとは言い難いがな」
「あら。あなただって」
「……」
まあ確かに…真裕に出会った頃からだいぶ“普通”とはかけ離れていった。
でもそのぶん、“真裕の普通”には近付いたわけで。
俺としては、まあそれでもいいかなと思っている。
「……重症だな」
「なにが?」
「別に…」
「おーい楓、ここでいいのか?」
と、そうしているうちにも、藤峰家のプライベートジェットがあるビルに着いたらしい。
「ああ。サンキュー」
「ありがとうお義父さま!」
「可愛いお嫁さんと孫のためだから! え? 息子? いたっけ! そんなの!」
「お義父さま、ご子息がいらっしゃらないと、お嫁さんもお孫さんもできませんわ」
「はっ! なんと!」
…いや、ほんとアホだなこの二人…。

