――楓サイド――
「鞄と犬と子供と持ったか?」
「持ったー!」
「いやあんた、言い方…」
「犬一匹忘れてんぞ」
「あらやだっ」
「……」
うちの親も、どうやらなんとか普通の感覚をしていたらしい。
真裕を見て絶句するだけの常識は持ち合わせている。
「それが常識なのΣ!?」
「というか真裕ちゃんを見てっていうより、あなた達二人を見てってほうが正しいわ」
「一緒にしてくれるな」
「いやちょっ……妻♥なのになにその言い草…」
さて……忘れ物はないな。
念入りに確認し、車に詰め込んだ。
あとは真裕ごと詰め込めば終わりか。
「や、だからあたし、愛妻…」
「ほら早く乗りな」
「……はぁい。お義父さまお義母さま、お世話になりました」
「気をつけてねーまおちゃん。真愛ちゃん元気でね!」
「また遊びにくるんだよっ!」

