秘密のMelo♪y⑦*完結編㊤*


「ちゃんと持って入れ……バカそういう持ち方するからこぼれるんだ」


「んみぇっ…」


「急かしてんぞ」


「待ってちかちゃんごめんね!」


親子…?


「たく……」


一段落したのか、またため息をこぼしながら車から少し離れた楓。

相変わらずじっとまおちゃんを見張って…じゃなくて見つめている。


「ねえねえ楓ーそういえばさ、まおはどうなの?」


「どうもこうもああだ。アホのままだが?」


「そんなこと聞いてんじゃねーわよΣ てかどんな言い草Σ!?」


「じゃなに」


めんどくさそうに聞き返した楓に、花梨が珍しく珍しく真面目な顔をした。


「珍しくて二回言うなΣ! …そうじゃなくて、体調…っていうか精神状態っていうか……ほら、相当ダメージ受けてたみたいだから…」


「ああ…」


確かに、あの事故以来の彼女はこれまでとほんの少し違った。

なにがと言われると言葉にはしにくい。

だけどいつも不安そうな瞳で楓を見つめ、触れているとようやく安堵した顔をする。


これは事故より前にも何度かあったことだけれど、あれ以降はずっとだった。


「しばらく心療内科医を呼んでカウンセリングを受けた。今は一人でも寝られるくらいには回復したな」