え!?
またかえくんが運転するの?
「まお隣! 真愛と隣!」
「はいはいどうぞ。なんなら写メ撮っとけば?」
「キャーりんりん天才! あったまいい~っ♥」
車の運転中なら、かえくんだって大人しく撮られるだろう!
……と、そう思ったのが間違いだったと気付いたのはその十分後。
「かえくん返してーっ」
「暴れるな。真愛落とすぞ」
「んみぇーっ」
「ああっΣ 泣かないで!」
まさかの…!
まさかの携帯を取り上げられるという…!
予想外の事態…!?
「なにもそこまでしなくたっていいじゃないのよーっ」
「いや、お前もな」
もはやこれは、写真を撮るか撮らないかの闘いではない。
意地の張り合い!? 的な!?
「……幸せなやつらやなぁ」
「まあ…いいんじゃない? あの二人にもあれで色々あったわけだし」
「ていうかあたし達完全に別の世界に遮断されてない?」
「ちかちゃん見てごらん、パパ♥ かっっこいいねー素敵だねぇー。記念にお写真撮っときたいね!」
「お前どんどん色んな言い訳を身に付けるな」
えらく呆れ顔をされたものの、そんなことでくじけるあたしではない。
「参った?」
「別に」
くっ…!
手強い…!
「…というかただのバカじゃない?」
「楓にしたらそこが可愛いんやからええんとちゃう?」
「要するにどっちもバカなんだよ」
あれ。
なんか後ろから悪意のある失礼な言葉が聞こえてくる。

