「おい、こいつに包丁とか割れもんとか持たせんなよ。あと火のそばにも…」
「わーかってるわようっさいわねもうー。大体幼稚園児の親じゃあるまいし、ちょっと心配しすぎなんじゃないの?」
「似たようなもんだろ」
「あんた仮にも自分の妻に…」
「きゃーΣ! かえくんかえくん助けてーっ」
なにやってんだこのバカΣ
なにをしようとしたのか、少し大きめのキャリーバックを開き、その重みに耐えかねてか腕を挟んだらしい。
慌てて真愛を一番近くにいた親父に渡し、駆け寄った。
「あーん痛かったぁ!」
半ベソをかく真裕を抱き締めてやりたいところだが、さすがに実家で親の前ではしづらい。
そう思って「バカかお前は…」と呟きながら頭を撫でてやっていて、ふと振り返ると。
「おいΣ」
2人してわざとらしく後ろを向いているものだから、思わず声を上げた。
「お、終わった? ドキドキ」
「いや、終わるもなにもそもそもなにも始まっちゃねーよ。…で? お前はなにをしようとしてたの」
真裕の方へ向き直ると、手首をさすりさすり涙目で言った。
「髪の毛、さっきから邪魔だから束ねようと思ったの。この中のポーチに入ってるの」
「これか?」
「うん…」

