「……」
「いやお前はまだいいよ…。俺なんて、パパー♥って可愛く呼んでもらったことないんだぞおおっ!?」
「あんまり昔の話穿り返すなよ…」
「どうか可愛げのないところ似ませんように!」
「祈るなΣ」
自分の娘に手を合わせる真裕は、やっぱりどこか間違っている。
「そうそう、今日お夕飯どうしましょうか? やっぱりフレンチ…」
「和食」
「……あんたに聞いたんじゃないわよ」
「和食」
「あ、あたしも和食がいいかなー…」
「あら…そう?」
普段は、フランス生まれフランス育ちの人間がフランス生まれフランス育ちの人間のために作るものだから、大抵が洋食で。
日本の日本食を食べたくなるのが日本人だ。
俺のそんな空気を読み取った真裕が、恐る恐る助け舟をよこした。
「じゃー何がいいかしらねぇ」
「ママのお料理食べたい!」
「え? いいの?」
「うん♥」
「じゃあママ腕を振るっちゃうわ♥」
「お手伝いしてもいいですかー」
「まあ素敵! 娘とキッチンに立つのが夢だったの!」
「ほんと!? かえくんかえくんいーい?」
「指切るな火傷するな鍋ひっくり返すなとにかく怪我するな」
「はーいがんばる!」
「過保護…?」

