「てか…家の中になんでポストがあんの?」
「父様の趣味よ。置き物みたいなもん」
「あ…っそ…」
呆れ顔のユウキとは、部屋の前で分かれた。
課題やらないと、だって。
「仕事続きしねーと…」
「…全部やってなかったんだ」
どんだけ心配するの。
もはやそれ失礼に値するんだけど。
パソコンに向かうかえくんをじとっと見て受話器を取りながら思った。
「あ、坂本さん。ポトフ作ってくれる? ポトフ」
『ポ…?Σ か、かしこまりました。少々お時間ちょうだいしますね』
「うん。お願いね」
なんか…『は!?』…って…。
言いたそうだったな…。
「ね、かえくんその資料、これを押すのよね」
「ん? ああ…そうだけど」
「じゃあやってもいーい?」
「…………いいけど…」
「きゃー❤やる!」
「……」
「え、なにその呆れ顔」
「別に…? ハンコ押ししたいとかこいつガキかとか思ってるわけじゃねぇし」
「思ってんのか」
ずいぶん遠回しな言い方を覚えたわね。

