―――……
「つーいーたーよっ♥ 日本の空気ですよ~」
久々に来たな、日本…。
しがない日本人らしからぬことを感じてしまうあたり、もうすでにしがない日本人ではないのかもしれない。
嬉しそうに真愛の頬をつつく真裕を横目に、どうしようか迷いつつも結局携帯を出した。
「ん。なにすんのー?」
「車出してもらうんだよ。この荷物持って歩けるわけねぇだろが」
「お義父さま?」
「ん」
今日着くことは言ってある。
今頃二人で大はしゃぎしていることだろう。
『かえ…『かえくん!? なになに着いたの? 真裕ちゃんは? 真愛ちゃんは!?』
「……」
「ちょちょちょΣ! 切らないの! なんとなく想像つくけど切らないの!」
『ほらほらあなた、早く車の用意して!』
『あ…う、うん…』
『じゃあ今から向かうからねー待っててね真裕ちゃん、真愛ちゃん♥』
「……」
いや…すべてにおいて間違ってんだろ。
電話出る人間も間違ってれば、話しかける相手も間違っている。
「ママなんてー?」
「もうしばらくしたら来るだろ」

