――楓サイド――


「じゃ、そういうわけなんで寝ますね!」


「一応聞くが、それはどういうわけだ」


突然そういうわけと言われても、さすがの俺でも分かりかねる。


「飛行機に乗る=寝る。これまおの常識」


「……」


「じゃー真愛は任せた♥ おやしゅみ~ママねんねだから真愛たんもねんねするんだよ♥」


そう言うや否や、ちゃっかり持ち込んでいた毛布にくるまり、またもちゃっかり俺の膝に寝転がり、あっという間に眠ってしまった。


「……」


そういや…真裕の寝顔、久々に見るな…。


あんなに毎日、真裕の寝顔を確認してたってのに、真愛が生まれてからはほとんどそれがない。

ちゃんとやれるもんだな……。


真裕と真愛を見比べながら、ぼーっと考えに耽った。


「んんー…」


「ん…? どうした?」


ぐずり出したのは真愛の方。

まあ俺には空腹を満たしてやることはできないが、それ以外なら何とかなるだろう。


真裕をゆっくり寝かせてやりたくて、静かに抱き上げた。


「ふんーにゃっ…」


「よーしよし…」


「んーっ…」


「今度はお前かよ…」


……可愛いなーこいつら…。