メイリーとリジュの会話なんてまるで聞こえていないかのように、彼はあたしの隣に腰掛けた。
「んしょっと……待っててね」
右足を左の太ももに乗せ、ふんぞり返る偉そう加減はさすがだ。
そこに真愛を乗せて立ち上がった。
『カエデと赤ちゃんの図、似合わない!』
『なんか超変な感じするんだけどー』
『いやーほんとにこの夫婦に子供産まれたんだなってなんかやっと実感したよ』
見世物でも見るかのように、かえくんたちをまじまじ見つめるみんなを背に、あたしは電話を手に取った。
坂本さんにコーヒーをお願いするため。
「んむっ…」
『あらっ泣きそう?』
「むにゃあぁ」
「いやだから泣き方ってもんがあんだろ」
『いや確かに面白いけど』
『お前が真顔で突っ込むなよ』
ちらりと後ろを振り返ると、真愛を縦に抱いて背中をぽんぽんするかえくん。
なーんか慣れた感じするんだよね…。
「…あっ、坂本さん? 悪いんだけどコーヒーお願い」
『楓様のものですね? ではブラックで』
「はーい。…あ、あと五人分のお茶とお茶菓子も♥」
『かしこまりました』

